この記事は、東京でタクシードライバーへの転職を考えていて「自動運転が来たら仕事がなくなるのでは」と不安な未経験の方向けです。先に結論を書きます。2026 年 9 月 15 日に発表されたのは「2027 年中に 100 台規模」という目標で、運賃は一行も書かれていません。100 台は東京の法人タクシー 26,747 台の 0.37% にあたります。日本交通の社長が使った言葉は「置き換え」ではなく「乗務員不足を補完」でした。 数字は 2026 年 9 月時点で編集部が 3 社の発表資料を開いて確かめたものです。
発表は「2027 年中に 100 台規模」。運賃は一行も書かれていない
GO、Waymo、日本交通の 3 社が 2026 年 9 月 15 日、東京での自動運転タクシー商用化に向けた戦略的パートナーシップに合意したと発表しました。目標は 2027 年中、自動運転レベル 4 の完全無人走行による商用運行です。 規模は「ごく小規模に始め、段階的に 100 台規模」。役割は Waymo が自動運転技術と運用基盤、日本交通が運行管理と営業所運営、GO が配車とタクシー事業者との連携。利用者は GO と Waymo の両方のアプリから呼べるようになります。
開始の時期については、発表資料にこう書かれています。確かな安全性が認められ、道路交通法や道路運送法等に規定された必要な許認可の取得が完了した後に決定される。つまり 2027 年中というのは目標であって、決まった日付ではありません。 そして運賃について、3 社の資料には記載がありませんでした。一行もない。いくらで乗れるのかは、まだ誰にも分かりません。
100 台は東京のタクシー 26,747 台の 0.37%
東京ハイヤー・タクシー協会の「東京のタクシー 2026」によると、特別区・武三地区(東京 23 区と武蔵野市・三鷹市)に営業所を持つ法人タクシーの車両は 26,747 台、事業者は 307 社です。 100 台はこの 0.37% にあたります。1 台あたりの乗務員は約 2.5 人なので、乗務員に直すと 250 人分。小数点以下の話です。
日本交通の社長が使った言葉は「補完」だった
発表資料に載った日本交通の若林泰治代表取締役社長のコメントに、こうあります。乗務員不足を補完し、より安全で質の高い移動インフラを次世代へと引き継ぐ。 補完。置き換えではない。
同じ資料には、専門の訓練を積んだ当社の乗務員たちが「Waymo Driver」を東京の道路環境に適応させるために尽力している、という趣旨の記述もあります。自動運転を東京の道に慣らしている当事者が、現役の乗務員だということです。 試験走行は 2025 年 4 月に始まりました。訓練を受けた日本交通の乗務員が、港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の 7 区で Waymo 車両を手動で走らせています。仕事を奪う相手を、乗務員が助手席で育てている状態です。
アメリカの実際。料金差は 12.7% まで縮み、高速道路は一度止まった
日本の運賃が未発表なので、先に走っているアメリカを見ます。配車価格を集計する Obi がサンフランシスコの約 10 万件を調べたところ、2025 年末時点で Waymo は Uber より 12.7% 高く、Lyft より 27.3% 高い水準でした。2025 年 6 月には 30〜40% 高かったので、半年で差が縮んでいます。2.7〜5.8 マイルの中距離に限れば、Uber との差は 2%。平均運賃は Waymo が 19.69 ドル、Uber が 17.47 ドル、Lyft が 15.47 ドルです。
高速道路はもっと動きがありました。Waymo は 2025 年 11 月 12 日に、サンフランシスコ湾岸、フェニックス、ロサンゼルスで高速道路の走行を始めています。公式ブログによれば、サンノゼ・ミネタ国際空港での乗降も同時に始まりました。 ところが 2026 年 5 月、工事区間での挙動を理由に高速道路の運行を全面的に止めます。再開は 2026 年 7 月 29 日、フェニックスから。ロサンゼルスとサンフランシスコ湾岸が後に続くと報じられました。
転職を考えている人が見るべきなのは、台数ではない
2027 年の 100 台を理由に、いま転職をやめる必要はありません。見るべきは台数ではなく、運賃と対象エリアの発表に限る。運賃が既存のタクシーと同じか高いなら、普段使いは広がりません。アメリカでも、差が 12.7% まで縮んでようやく比べられる土俵に乗った段階です。
会社を選ぶときに一つ足すなら、面接で「自動運転の導入予定と、配属される営業所が対象エリアに入るか」を聞くのがいい。答えられない会社が悪いわけではなく、聞いた人だけが 3 年後の自分の営業所を想像できます。 給与保証が切れた 2 年目に効くのは、結局どこで走るかの知識です。編集部が東京都内の路上情報 2 万件以上を約 1 年分数えたところ、新宿駅、東京駅、品川駅、千代田区の上位は 1 年間ほとんど動いていませんでした。自動運転が 100 台入っても、この地図は変わりません。
年収の水準は東京のタクシー運転手の年収で、会社の見分け方は東京のタクシー会社の選び方で確かめてください。



